BLOG ブログ

雇用保険に未加入の職員へ支給した給与も、雇用調整助成金の対象になる?

雇用保険に未加入の職員へ支給した給与も、雇用調整助成金の対象になる?

一般的に、医療機関の人事労務管理は難しいと言われています。一般企業において人事・総務の経験がある人を「事務長」として雇用しても、なかなか現場に馴染めずに、職員や経営者との対立を招くこともよくあります。

それは、本来対等であるべき労使の力関係が、医療現場においては、労>使となることが理由のひとつです。その原因は主に、雇用する職員を、医療現場の近隣に住む、看護師等の有資格者から選ぶ必要があるためです。この2つの条件を満たす母数自体が少ないために、労働者の希少価値が高まり(→権利意識が高まり)、労使の力関係の逆転が起こります。

そのような特殊性をもつ医療機関において、盤石な組織を築くために必要なことは主に以下の2つです。

①明確なルール/管理体制を定めること
②管理者が基礎的な労務管理知識を有すること

そこで、このブログを通じて、医療機関の管理者の方が現場で実際に発生した問題を解決する助けになるような情報を定期的に配信していきます。人事職員の方も参考になることがあると思いますのでご活用ください。

では早速、今回のテーマに入ります。

【雇用保険に未加入の職員へ支給した給与も、雇用調整助成金の対象になる?】

雇用調整助成金、新型コロナウイルス関連の助成金ということで、「新型コロナウイルスの影響を受けている事業主ならとにかく対象になるのでは?」と、お問い合わせをいただくことがあります。

まず、テーマの答えですが、雇用保険に未加入の職員に支給した給与も、雇用調整助成金の対象となります

厚労省が公表している支給要領を読めば良いのですが、・・・ですよね。
そこで今回は、「雇用調整助成金」とは何かについて、まとめたいと思います。

■まず、雇用調整助成金とは何か?
ざっくりとまとめると下記の助成金です。
(a) 景気の変動等の理由により
(b) 事業活動の縮小を余儀なくされた場合等において
(c) 雇用の安定を図るため
(d) 雇用する労働者に休業手当を支給した事業主に対して
(e) 助成(援助)を行うもの

新型コロナウイルスに置き換えると、下記のようになります。
(a) 新型コロナウイルスにより
(b) 時短営業や事業活動の自粛が余儀なくされた場合において
(c) 労働者を退職させないために給与をコロナ以前の水準で維持し
(d) その労働者に不就労時間についても休業手当を支給した事業主に対して
(e) 助成金で補償をを行うもの

つまり、事業主が先に負担した従業員への給与補償が事後に戻ってくる仕組みです。実労働時間分の給与しか支給していない場合は対象にならない助成金です。

■支給対象事業主(主な要件)
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し事業活動が縮小している(全業種)
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

■助成対象労働者
原則:雇用保険被保険者
特例:雇用保険被保険者以外(アルバイト等)
雇用保険被保険者以外(アルバイト等)には「緊急雇用安定助成金」が支給されます。

■助成率
解雇等を行っていなければ中小企業:100%、大企業75%
※対象労働者1人当たり日額15,000円が上限

■対象期間
令和2年4月1日から令和3年4月30日までの期間(2021/4/26時点)

以上です。いかがでしょうか?
コロナにより減少した売上が補填される助成金ではないため「な~んだ」となってしまう経営者の方もいらっしゃいますが、会社の資産のひとつである従業員を守る制度として、ぜひご活用いただきたいです!

助成金の申請代行は社労士の独占業務ではありますが、もちろん事業主ご本人でも申請可能です。
ただ申請書の不備等で結局社労士に依頼するというケースもあるため、最後に、社労士に依頼するメリットをいくつかご紹介したいと思います。

①要件の精査を依頼できる
上記「支給対象事業主」2.の売上要件にも「※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。」と書きましたが、きちんと精査すると要件に該当して申請できるケースもあります。作成作業を徒労に終わらせないために、依頼するのもひとつです。
②受給につながる提出書類の作成が可能
提出書類のひとつに「休業させた日や時間がわかる書類」と ありますが、この書類に該当する出勤簿やタイムカードの写しの作成は、社労士の得意分野です!
③労使協定の締結が必要な場合にサポート可能
労使間の協定を締結する必要がある場合、ひな形の準備や締結のフォローを行うことが可能です。

代行依頼費用を確認し、その費用対効果をみて総合的にご判断いただくのが良いかと思います。

とにかく不正受給の多い雇用調整助成金・・・(2021年4月頭時点で金額にして2億7000万円余り!)困ったものです。ぜひ、本当に困っている経営者、従業員のために活用してもらいたいです。このような時世だからこそ、困っている経営者の方々が大切にしてきた事業を存続させるために少しでも力になれればと思うばかりです。

※なお、休業手当を支給していなくても、労働者本人が申請できる「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」という制度もありますのでご興味のある方はお問い合わせください!

CONTACT
お問い合わせ

人事オフィス桜井への
ご意見やご要望などは
お気軽に以下のフォームから
お問い合わせくださいませ。