実はわたくし、社労士としてお客様にサービスを提供するお仕事とは別に、予備校の社労士講座の講師もしています。
予備校講師を始めようと思ったきっかけは主に２つあります。
①そもそも教えることが好き
これまで、家庭教師として学生の子に対して受験に向けた勉強を教えたり、子どもから大人まで幅広い年齢の方々にヴァイオリンの指導をしてきたりと、20歳以降は何かしらの形で人に対して「教える」ということを続けてきました。都度、教えることの難しさを感じ、試行錯誤を繰り返してきましたが、そのおかげもあり、目の前の人がどこでつまづき、どのように説明したら伝わるのかについては気づける方だと自負しております。
②法律知識を常に最新の状態にアップデートしたい
法律は割と頻繁に改正されます。都度勉強すれば良いのですが、自分のめんどくさがりの性格を考えるとなかなかしないだろうと思いました。そこで、人に教えるということを通して自分が学んでいくのが一番効率的と、講師を始めました。
予備校講師として採用が決まった後も、（当然ですがそんなにすぐ法律のことを教えられるはずもないので）しばらくは教材編集の業務が主でした。
そしてこの春、初めて講師としてデビューさせていただきました！
その際に多くの反省と発見があったので、紹介してみたいと思います。
将来、何かしらの講師業にチャレンジしたい方々には少しでも参考になれば幸いです。
◆オンライン授業の難しさ
これまでFace to Faceの指導しかしてきたことがない私にとって、オンライン授業は初めてでした。オンライン授業といっても、Liveで教えるのではなく、講義収録です。収録方法も色々あるかと思いますが、今回行ったものは、3m×3m程の小さな会議室において、2ｍ程離れたところに設置してあるビデオカメラに向かって講義を行うという形式でした。座った状態で、事前に準備したパワーポイント資料とテキストを使い、自分以外誰もいないしずか～な密室でひたすら講義を行います。
「このやりづらさと言ったら！！」
受講生として、他の講師がその場で収録した授業を聞いたことはありましたが、本当にすごいことだなとひれ伏しました・・・
リアクションがないので、伝わっているのかもわからないままに、気づけばテキストの内容を読み上げるだけになっていました。
また、言い間違いをしてしまったときや、言葉に詰まってしまったとき、Face to Faceの指導であればその場で訂正できる上、笑いに繋がり生徒の緊張をほぐせることもありますが、講義収録の場合、無情にも反応はゼロで、ミスはただのミスです。ビデオカメラをいったん止め、少し前から撮り直しです。
このような感じでまったく調子が掴めず、初回は失敗に終わりました。
1日に4講義収録したのですが、全て撮り直すことになりました。
◆軌道修正
大反省し、2週間後の再収録に向けて絶対改善することを決めました。
「自分が受験生だったらどんな授業を受けたいか？」
「伝える内容は決まっているなかで自分だから伝えられることは何か？」
「そもそも講義スタイルはこのままで良いのか？」
等々、考えまくりました。
その結果、
【座った状態で、パワーポイント資料とテキストを使って行う】というスタイルから【立った状態で、テキストを使いながらパワーポイント資料を一切排除し都度板書して行う】といういわゆる教室講義の形態に、無理を言って変更してもらいました。
講義内容も、テキストの読み上げは排除し下記に特化しました。
・テキストに記載のない+α情報
・テキストに記載のない項目間の関係性
・重要度（試験に狙われやすいかどうか）
・テキストだけだと理解し難い内容の補足説明
結論からいうと、自分としては大正解でした。
都度板書を用いて説明をするため、受講生が理解していく流れを適度な速度で一緒に追えますし、話の抑揚もつけやすかったです。
板書の文字が汚くなったときに、「あ、字汚くてスミマセン（笑い声）」とひとりの密室でビデオカメラ相手に自分が笑っていることに気づいたときは、怖くなると同時に手ごたえを感じました。
◆仕事に置き換えてみる
仕事を行うなかで、相手が1人のときや複数いるときなど状況は様々ですが、相手に対して何か説明したりプレゼンをする機会は多いと思います。
事前準備をするかと思いますが、そのときに「相手の理解の流れ」を想像し、下記のことに意識をして準備するとうまくいくことが多いように感じます。
・ここを説明したらこう言ってくるだろう
・ここの内容についてこう感じるであろう（けど言いづらいだろう）
【説明する側／受ける側】と分かれていても、説明が一方的にならないように、想像を巡らせていけばうまくいく仕事も多いかと思います。
社労士講師業、準備をとっても大変ですが面白かったのでこれからもどんどん腕を磨いていきたいと思います！