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社労士としての開業、社労士事務所にすべき?社労士法人にすべき?【消費税編】

社労士としての開業、社労士事務所にすべき?社労士法人にすべき?【消費税編】

長く苦しい勉強期間を経てようやく合格を勝ち取り、
念願の社会保険労務士の資格を取得したら独立を志す方は少なくありません。

独立の選択肢として、
①事務所設立:個人事業主として社労士事務所を開業して所長になる
②法人設立:社労士法人を設立して代表社員になる
の2つが考えられます。

私は①事務所設立を選択しました。今回はその理由を書きたいと思います。
まず、選択するにあたり以下の14事項を比較し、総合的に社労士事務所と社労士法人のどちらにすべきかを検討しました。
1. 自分に入る給与
2. 所得税/法人税
3. 消費税
4. 事業税
5. 住民税
6. 事業承継の必要性
7. 経営資金運用方法
8. 社会的信頼
9. 事務処理の煩雑さ
10. 社労士年会費
11. 社会保険/雇用保険
12. 源泉所得税控除
13. 決算
14. 多事業展開

今後、14項目についてひとつひとつ解説していきますが、今回は【3. 消費税】について解説します。

税金の中でも私たちに馴染みのある消費税ですが、これは個人に対してだけでなく企業の仕入れや売上にも当然にかかってきます。
消費税率は2019年10月に10%に引き上げられました。(食料品などは軽減税率8%が適用のまま)
では、消費税の増税は企業にどのようなデメリットをもたらすでしょうか?
消費税は単に預かっている税金であるため、増税されたとしても実質的に企業が負担する税額に一切変化はありません。
ただ、その分を負担するのは消費者なのです。
多くの企業が増税分を価格に転嫁するため、価格が上昇し、その結果売り上げが落ちるリスクを発生させます。
しかし実は、ある条件を満たす場合には消費税が免除となり、消費税が売り上げ価格に影響しないため、
課税事業者に比べて安い価格で売ることができるメリットを受けられ場合があります。
今回比較する上で注目したのはそのポイント【消費税の免除】です。

では、どういう場合に消費税が免除されるのかです。
以下の両条件に該当している場合に免除されます。
①基準期間(課税期間の前々年度)における課税売上高が1,000万円以下
②特定期間(前年の1月1日~6月30日)における課税売上高が1,000万円を超えていない
したがって、既にクライアントが一定数あり1,000万円を超える売上が確約されている場合を除き、
まずは個人事業主として事業を展開し、
課税売上高が1,000万円を超えたタイミングで法人化した方が2回免除の恩恵を受けられることになります。

どういう場合か、例を挙げます。以下のような個人事業主が存在するとします。
(a)1年目 課税売上高500万円 【消費税非課税】
(b)2年目 課税売上高700万円
(c)3年目 課税売上高1,500万円 【消費税課税事業者に該当】
(d)4年目 課税売上高2,000万円
(e)5年目 課税売上高2,000万円 【消費税課税義務発生】

上記のケースにおいては、(e)の時期に個人事業主のままだと消費税の納税が開始しますが、
この年に法人化することにより、5年目の消費税課税義務も免れ、実質免除期間を2年間延ばすことができます。
「今はまだ立ち上げ時期で売上も少ないけれど、今後ガンガン成長していくぞ!」
という起業家におすすめのプランかなと思います。

以上が消費税の側面から考え、個人事業主を選択した理由です。
なんとなく「法人かっこいい~!」という理由だけで法人化するのはもったいないし、
知らないことは損をすることにつながってしまいますね。勉強勉強!

今後も他の側面から見た比較をしていきたいと思います。

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