この時期になると、会社の人事部は年末調整の処理で大忙しです・・・
会社に勤め始めてからもう何度も経験してきた年末調整ですが、
その仕組みについては知らない方もいるのではないかと思います。
そこで今回は、以下の2点について説明したいと思います。
1. 年末調整の概要
2. 会社員と関係深い所得税に関する控除
1. 年末調整の概要
会社が従業員に給与を支払うときには、その給与や賞与から所得税を源泉徴収しますが、
A:源泉徴収した所得税の合計額
B:本来徴収すべき所得税の一年間の総額
を年末に比較し、そこで発生した過不足金額を調整することを年末調整といいます。
なぜ「過不足金額」が発生するのか?
【A:源泉徴収した所得税の合計額】は概算であり、
年の途中に以下のような変更があった場合修正が必要なためです。
・給与金額が変更した
・転職した
・家族構成が変更が生じた etc…
2. 会社員と関係深い所得税に関する控除
以下の2つは、多くの方が無意識の内に恩恵を受けている所得税控除です。
(1) 給与所得控除
(2) 基礎控除
なお、所得税は以下の計算式に基づき計算されます。
所得税=課税所得金額(年間収入-給与所得控除-所得控除)×税率-税額控除額
(1) 給与所得控除
給与所得控除は、会社員などの給与所得者に適用される控除で、
給与所得額を求める際に年間収入から差し引かれます。
(控除額:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)
個人事業主の場合、【売上-経費=事業所得】となりますが、
「会社勤めのサラリーマンにも経費はかかるはずだ」
という前提のもと、55万円を最低額として控除額が定められています。
スーツや靴などの経費をひとつひとつ計算するのではなく、
年収に応じて一律に経費として計上することとしているのです。
これが、給与所得控除の基となる考え方です。
(2) 基礎控除
基礎控除は、14種類存在する所得控除の内のひとつで、
原則として納税者全員に無条件一律に適用されます。
※他の所得控除は、基本的に所得控除を受けるには申請が必要です
(控除額:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm)
「人間は生活している以上、最低でも一人の人間(=自分自身)を養っている」
という前提のもと、金額が定められています。
所得税では、この最低限の金額を48万円と想定し、
最低生活保障額である48万円には税金をかけないこととしました。
これが、基礎控除の基となる考え方です。
以上が会社員と関係深い所得税に関する控除です。
ちなみにですが、
●基礎控除の最低額=48万円
●給与所得控除額の最低額=55万円
を足し合わせると103万円になります。
この数字はよく耳にしませんでしょうか?
そうなんです、よく聞く【103万円の壁】はここから来ているのです。
年収を給与所得控除の最低額の55万円と基礎控除の48万円を合わせた103万円以内に収めれば、
課税所得が0円となり所得税も0円となるのです!
ただの数字として捉えると味気無いですが、
その背景を知ると少し面白く感じられますよね。
僕だけでしょうか(笑)
今年から基礎控除の最低額が38万円→48万円と10万円アップしましたが、
基礎控除の基となる考え方を理解すると、
日本社会に横たわっている問題についても考察ができそうです。
この辺りはまた別の機会に!