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固定残業代とは?そのメリットとデメリット

固定残業代とは?そのメリットとデメリット

こんにちは!

今回は、「固定残業代制」についてお話させていただきます。
固定残業代制とは、残業代を定額としてあらかじめ設定して支給する制度です。
ここ最近、医療業界でも導入している医院も増えており、よくご相談をいただきます。

とはいえ、導入にあたりデメリットはないのか?注意すべき点はあるのか?など、気になりますよね。
そこで、固定残業代制のメリット・デメリット・注意点をまとめてみました!

■固定残業代制のメリット

① 残業代計算が平易になる
固定残業代制の根幹でもありますが、残業代を固定化するため、残業代を計算する必要が“原則は”なくなります。
経営者目線でいうと、突発的な診療等による予期せぬ残業代が発生することも防げるため、給与計算が簡素化できるだけでなく、人件費の見通しも立ちやすくなるというメリットもあります。

② 従業員の業務効率化につながることも
残業をして残業代を稼ぐことをせずとも収入を維持することができる(逆に言えば、残業をしたところで残業代が増えるわけではない)ため、従業員にとっては不要不急の残業をする必要性がなくなります。
従業員にとっても、残業時間を短くした方がお得なので、おのずと業務の効率化につながります。
「できるだけ定時に終わらせよう」という風潮が院内で生まれ、従業員同士が助け合うようになったケースも耳にします。
従業員の能力向上やワークライフバランスの実現に寄与していくことで、従業員とwin-winの関係を築ける可能性を秘めています。

■固定残業代制のデメリット

① 人件費が増加する可能性がある
残業しない従業員にも一定額の残業代を支払う必要があるため、従来よりも人件費が高額になる可能性があります。

② 固定残業時間分を超えた場合、残業代の計算が発生する
メリット①で「計算が平易になる」という話をしましたが、それはあくまで、実際の残業時間が、あらかじめ設定した「固定残業時間」内に収まっている場合です。
たとえば、月20時間分の残業代を、固定残業代としてあらかじめ設定している場合、21時間働いた従業員に対しては1時間分の残業代を追加で支払わなければなりません。
したがって、残業代の計算をしなくてよくなるわけではない点は、要注意です。

③ おさぼりにつながる
メリット②で「業務効率化につながる」という話をしましたが、残念ながら、「残業をどうしてもしたくない」と考え、本来であれば退勤に向けて協力し合うべきところを、「自分の仕事だけさっさと終えて帰りたい」と自己中心的になってしまう人が出てくることもあります。

■固定残業代制の注意点

① 従業員にも正しい理解を促すこと
デメリット②でも述べましたが、固定残業代制は「働かせ放題」というわけではありません。
また従業員によっては、「固定残業時間分は働かなければならない」と勘違いしているケースもあります。(←過去の私もそうでした…。)
上記のような誤った認識があると、固定残業代制のメリットが薄れたり、労使間のトラブルに発展したりする恐れがあります。
経営者だけでなく、従業員にも正しい理解を促すことが大切です。

② 法令の遵守
固定残業代の設定時間について、法的に上限が定められているわけではありません。
それであれば、例えば月100時間の固定残業代を設定して良いのかというと、そういうわけではありません。
時間外労働をさせるためには36協定を締結しなければなりませんが、その36協定では、原則、月45時間が時間外労働の限度とされています。
そのことを考慮すると、固定残業代も45時間を超える設定時間にすることは避けるべきかと思います。

また、固定残業代を導入する代わりに基本給等が減少するような場合は、基本給が最低賃金を下回らないように注意します。
なお、上記のケースは職員にとって不利益な変更となるため、慎重に検討する必要があります。

③ スタッフ間で差をつけない
多くのクリニックを見てきて、意外とトラブルになるのが、スタッフ間で契約内容に差があるケースです。
AさんBさんCさんは【固定残業代無し】の契約である一方で、最近入職したDさんEさんは【固定残業代有り】の契約のような場合。
職員間の情報共有はなかなか止めることもできず(想像以上に共有されています・・・)、契約内容の差を知ると不満を主張してくるようなケースも少なくありません。
更に、DさんEさんが上記デメリット③に該当するような方だった場合が、一番大変です。

以上が、固定残業代のメリット・デメリット・注意点になりますが、いかがでしょうか?

固定残業代制は、正しい理解があれば、経営者にとっても従業員にとってもメリットの大きい制度といえます。

ただし、導入にあたっては、行政の手続や法令の遵守、残業時間の把握など、対応しなければいけないことも多々あります。
そして何より、制度をよく理解して、自身のクリニックに合うかどうかをきちんと判断することが必要です。

導入に興味があるけれど、どうしたらよいかわからない…
診療が忙しくて手続きする暇がない…
というときは、まずは一度、労務の専門家である社労士にぜひご相談いただければ幸いです。

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