大学で講義をしてきました
先日、某大学の社労士講義で、社労士資格取得を目指す受験生に向けて講義をしてきました。
今回は、その講義内容の1つである「社労士資格を取得するメリット」についてお話ししていきます。
社労士資格を取るメリットについて
近年、日本の労働環境は「働き方改革」「少子高齢化と労働人口の減少」「年金問題」「外国人労働者」「新型コロナウィルスの影響」などにより急速に変化しています。
そんな中、働きながらでも挑戦できて専門性も高い資格として注目されているのが社労士資格です。
各予備校の情報によると、標準勉強時間は1000時間程度で、1年~3年の期間で合格を目指すことができると言われています。
実際、毎年4万人以上が受験しており、その過半数が会社員です。(とはいえ、合格率は約6%と決して高くはなく、私も合格まではとても苦労しましたが…)
社労士資格にどんなメリットを見出すかは、人によって様々だと思います。
パッと思いつくところでいうと、
・不況に負けない高い専門性がある
・転職に有利
・ビジネス面だけでなく実生活でも役立つ知識が身につく
・人事労務の専門家として組織改善に取り組む足がかりになる
・会社の人事担当としてのスキルアップ(資格手当ももらえたらラッキー)
・長いこと会社員として働いてきた経験を活かして最後のキャリアとして独立できる
・経営者となり自由な働き方を選択することができる
といったところでしょうか。
また、
・他士業と競合しないよう、業務が線引きされている
→たとえば新型コロナウィルスに伴う助成金申請業務は社労士が独占している
・他資格もあわせてもっていると、対応業務の範囲が広がる
→経営に欠かせない「人」と「お金」について、税理士、中小企業診断士、行政書士は社労士業務と相性がよく、あわせて資格を持っていると顧客にワンストップでサービス提供できる
といったことも社労士資格の強みとして挙げられると思います。
さらに、20〜30代の方であれば、その年代で社労士資格を取ること自体に希少性があります。
以前、『社労士資格を目指すべきか?(20代~30代向け)』
(https://office-sakuraiyuzo.com/blogs/社労士資格を目指すべきか?(20代~30代向け)/)
という記事にも数字とともに紹介しているので、気になる方はご一読いただければと思います。
そして、上記の記事にも書きましたが、大切なのは資格は”目的”にも”手段”にもなり得るということ。
社労士資格を取るメリットはたくさんあります。
ただ、私の場合、資格取得はあくまで目的を果たすための手段(免許)のようなものである、という感覚です。
尊敬する先輩社労士の印象的な一言
社労士としての働き方の認識が変わった、印象的な一言がありました。
それは、私に社労士としての基礎を教えてくださった、社労士法人を経営する社長と食事をした時の話です。
その社長は、世界的大手の会計事務所で税務申告、会計、給与計算業務などを経験されたあと、給与計算に特化したアウトソーシング事業に従事、その後社労士事務所をされた方です。経験豊富な先輩社労士として、尊敬しています。
社労士法人の社長なので当然社労士なわけですが、その食事の場で、同僚の役員の方に言われていたのが、
「○○社長は社労士でなく経営者だからね」
という一言でした。
社労士資格勉強中だった当時の私は、意味が呑み込めず「はて??」という感じでした。
社労士でなはく経営者?
社長の言葉に、当時の私は「はて?」でしたが、事務所を開業した今なら少し理解できるようになりました。
その方は社労士資格を”手段”として、ご自身の実務の量は抑えて周りの信頼できるスタッフに任せながら、経営や営業にかける時間を主としていたのです。
まとめ
社労士資格を取るメリットは様々です。
ご時世的にも社会から求められる資格であり、「とりあえず安定の国家資格を取りたい」という想いから挑戦したいという方が一定数いるのも頷けます。
ただ、資格を取った後の活用方法、働き方も十人十色です。
もう一歩踏み込んで、資格を取った先のことも見据えられたら、辛い勉強期間にもより身が入るかもしれません。
たとえば、「手に職をつけて稼ぎたいから、社労士資格を取得して開業したい」を、
「2024年までに社労士資格を取得し、2026年に開業。5年以内に月収100万円を達成し、熱海の海辺に(犬と共に)移住して場所にとらわれないメリハリのある働き方をしたい」と、できる限り具体的にイメージするのがお勧めです。
私自身も、資格を取得する前から勝手に開業後の事業計画を細かく立てて(笑)、受験前にメリットと目的をがっちり固めて、「あとは受かるしかない!」という背水の陣に自分を追い込んだのも、今思えば良かったように思います。
社労士を目指している方や独立間もない方、ぜひ自分が目指すあり方を具体的に意識して仕事に励みましょう!