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年末調整とは?会社員が知っておきたい基礎知識

年末調整とは?会社員が知っておきたい基礎知識

10月に入り、会社の人事部や給与計算担当者は年末に向けて忙しくなる時期になりました。

この時期よく耳にするのが『年末調整

会社員の方にとっては、「毎年会社からよくわからない書類を書くように指示されるな」とか「保険の書類を持ってくるように言われたな」といった、聞いたことはあるけど詳しくは分からない何か、くらいのものかもしれません。

詳しく知らなくても会社が手続きはしてくれますが、知識があると給与明細の金額の意味が理解できたり、人によってはお得になることもある年末調整について、今回解説していきます!

年末調整とは?

年末調整とは、
①会社を通して毎月概算で徴収している所得税を
②年末に1月~12月の1年間分の給与額に基づいて調整する仕組み
のことです。

なぜ、このような仕組みを取っていると思いますか?

それは、国が所得税の徴収漏れを防ぐためです。

会社員の所得税は、毎月の給与から一定額が天引きされ、会社を通して国に納められています。この毎月概算で徴収される所得税を『源泉所得税』といいます。給与の額面と手取り額が異なる理由のひとつですね。

この会社員の所得税も、本来であれば個人事業主が行う「確定申告」同様、12月にまとめて1年分の所得税を徴収できれば、なんの問題もありません。(むしろ給与計算の手間が省けます!)

ただ、その方法だときちんと徴収できないリスクが高いため、会社員の所得税については会社に管理させ、年末調整という仕組みを導入しているというわけです。

この源泉所得税は、あくまで概算であるため、人によっては年の途中に「昇給」「扶養家族の変更」等の変動が発生し、概算額と確定額に差異が生じます。また、生命保険や住宅ローンの支払がある場合も、源泉所得税額は変動します。

これらの要素を踏まえ、12月31日時点でのその人の状況に応じて、年収を元に所得税が実際はいくらになるのかを年末に計算し直すのが年末調整です。

計算の結果、源泉所得税を払いすぎていればその分が還ってきて、足りなければその分を納付することになります。

12月分の手取り額が普段と違う場合があるのはこのためです。

年末調整の必要書類

年末調整で会社員の方が提出する書類は、主に以下の3種類です。

おそらく会社から、10~11月頃に提出を求められると思います。

ざっくりとで構わないので、なんのための書類かを確認しておきましょう!

1,給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書

「従業員に自分の給与で養っている家族がいる場合、その従業員の税金負担を軽減しよう」という目的のための申告書です。扶養している家族の人数によって所得税の額が変わってくるため、扶養家族の情報を記入します。
独身の場合や扶養家族がいない場合にも、個人の記入欄のみ記載します。

2,基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

この申告書の目的も「1,給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書」とほとんど同じですが、特に本人及び配偶者の状況に合った税金負担とするために必要な申告書となります。
「基礎控除」「配偶者控除」「所得金額調整控除」の3つの情報が1枚の用紙にまとまっており、配偶者控除を受ける場合にのみ提供が必要です。

3,給与所得者の保険料控除申告書

「生命保険」「地震保険」「社会保険料」「種規模企業共済掛金」を支払っている場合にはその分保険料控除を受けられ、その事実を証明するための申告書です。
保険会社から送られてくる控除証明書(原本)とあわせて提出します。

年末調整をしていても確定申告が必要な場合もある?

基本的には上記3種類の書類を会社に提出すれば年末調整の手続きは完了です。

しかし、追加で書類の提出が必要な場合や、会社員でも確定申告が必要(または確定申告した方がお得)な場合もあるので、注意しましょう!

よくある例として、以下の3つが挙げられます。

1,住宅ローン控除
2,医療費控除
3,寄付金控除

1,住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、マイホームを一定条件のローンを組んで購入・建築した場合などに、年末のローンの残高に応じて所得税控除を受けられる制度のことです。

住宅ローン控除対象の方は、最初の1年目のみ、自分で確定申告をする必要があります。
1度確定申告すれば2年目以降は住宅ローン控除の対象とみなされるため、10月下旬頃に税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」と、金融機関から送られてくる「残高証明書」を会社へ提出することで年末調整の対象となります。

2,医療費控除
1月1日から12月31日までの間に10万円以上の医療費を支払った場合、医療費控除の対象となり年末調整とは別に確定申告が必要になります。対象は、本人及び配偶者、親族です。

3,寄付金控除
寄付金控除は、個人が国や地方公共団体、社会福祉法人、一定の認定NPO法人などに対し寄付をした場合に認められる控除で、年末調整とは別に確定申告が必要になります。

最近流行っているふるさと納税も、この寄付金控除にあたります。
ただし、ふるさと納税では「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が導入されたため、サラリーマンなどの給与所得者で、納付先の自治体が1年間で5つまでの人であれば、確定申告をする必要はなくなりました。

自分の人生の経営者は”自分”

年末調整を行う担当者は、従業員から提出される書類等の回収が完了してはじめて、年末調整を行うことができます。最後の1人からの最後の1枚の紙の提出がない限り、完了することはありません。(あまりにも提出が遅い従業員は「確定申告で対応してください」と見放されることもありますが笑)

「毎年、何のために何の書類を書いているのかよく知らなかった…」という方も、年末調整はご自身の給与に関する重要なことなので、最低限の知識は身に着けるようにしましょう。

自分の人生の経営者は”自分”という言葉があります。

世の中の仕組みを理解して、有利に活用できるところはしていけたら良いですね。

ぜひ、年末調整の提出書類も早めに提出し、みなさんも、みなさんの会社の人事担当者の方も気持ちよく年を越せたら嬉しいです(^^)

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