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ストラディバリウスは経費になる?

ストラディバリウスは経費になる?

たまには税務の話を。

今の時期、3月15日が提出期限である確定申告の提出のため、税理士は繫忙期を迎えています。また、締切に追われてあたふたしている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?(私も例に漏れません(^^;)

確定申告の際にひとつのポイントとなるのが、「これは経費で落とせるか?」という点です。

その経費について、音楽畑でも育ってきた私にとって関心深い記事がありました。


「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(愛知県一宮市)の創業者、宗次徳二氏(70)が取締役を務める資産管理会社「ベストライフ」(名古屋市中区)が名古屋国税局の税務調査を受け、約20億円の申告漏れを指摘されていたことが6日、分かった。バイオリンなど減価償却できない希少な楽器が問題になったという。

関係者によると、所有していたイタリア製のバイオリン「ストラディバリウス」など約30丁を誤って減価償却して経費に計上していた。加算税を含む追徴課税は約5億円。既に全額を納付した。

共同通信ニュース

宗次徳二さんと言えば、経営の世界でも音楽の世界でも非常に有名な方です。
・カレーハウスCoCo壱番屋の創業者
・宗次ホールオーナー
・五嶋龍や葉加瀬太郎へのストラディバリウスの貸与

といえば「あー!」となる方もいるのではないでしょうか。

宗次さんは、ご自身が愛する音楽振興のため、ストラディバリウス等希少価値の高い楽器を自ら購入して、有能な音楽家に貸与しています。

そのストラディバリウスの購入に関して、税務トラブルが発生したのです。
一言でいうと、ストラディバリウスを減価償却し経費計上していたが、税務調査により経費計上が認められず、追加で約5億円もの税金を納めたという話です。

この話を理解するためにも、まず減価償却とは何かについて簡単に説明しておきます。

減価償却資産とは、時間の経過によって価値が減少する資産のことです。
その減少した分を減価償却費として1年ごとに分割して経費計上できる仕組みです。

旭化成ホームズ株式会社より

つまり、減価償却費に計上することで節税対策につながるのです。
例えば、家という資産をみたとき、建物は時の経過によって老朽化するため、減価償却資産に該当しますが、土地は地価の変動に伴い価格の変動はするものの減価することはないという考えに基づき、減価償却資産には該当しません。

ここで論点となるのが、「ストラディバリウスは時の経過によって価値が減少するのか?」という点です。

ここがYesなら減価償却資産となり、Noならストラディバリウス減価償却資産にはなりません。

結論としては「ストラディバリウスは時の経過によって価値が減少しない」と判断されます。
ちなみに、有名画家が描いた絵画などの美術品も同様に、時の経過に従って価値が下がるものではないことから、減価償却資産とはなりません。

その理由についてもう少し説明していきます。
ヴァイオリンは、その楽器の古さから「オールドヴァイオリン」と「モダンヴァイオリン」という2つのカテゴリーに分けられます。平易な言葉を使えば、「中古ヴァイオリン」と「新品ヴァイオリン」ですね。

商圏によっても「オールドヴァイオリン」及び「モダンヴァイオリン」 の定義は異なるので一概にはいえないですが、一般的には「オールドヴァイオリン」の方が価値が高く、高いもので何十億もすると言われています。
車等私たちが普段売り買いするものは、中古になった途端、価値がガクンと下がるものがほとんどなので意外な感じがしますよね。

今回話題となったストラディバリウスもこの「オールドヴァイオリン」に属し、およそ350年ほど前に作られた楽器になります。

ストラディバリウスの価格はここ30年間で年平均15.4%上昇し、金などを凌ぐ上昇率であるとの統計も出ているそうです。価値が下がらないどころか上がっている状況です。

ここまで説明すると、「ストラディバリウスは時の経過によって価値が減少するのか?」の答えは明らかにNoとなり、減価償却資産とならないこともお分かりいただけたかと思います。

減価償却資産にならなければ減価償却費として経費計上することもできません。同様の指摘を税務調査で指摘され、本来納めるべきであった税金を納めたということですね。

ここからは余談になります。

実は私も一度このストラディバリウスを手に取り弾かせてもらったことがあります。
絶対に落とさないように構え、どんな素晴らしい音色がするのかドキドキしつつ音をだしたのですが、「え、こんなもの?」というのが正直な感想でした。

これは楽器が悪かったのではなく、実は、ストラディバリウスほどの名器ともなってくると、その楽器とのそもそもの相性や、愛情のかけ方とかによっても音は変わってきて、扱い方によっては大化けもする「育てる楽器」なのです。初めましての僕なんかに良い音を鳴らしてあげるほど甘くない、ひねくれものです。

ただ、奏者と信頼関係のある状態のストラディバリウスの音色を、実際に大ホールで聴くと、一番後ろの席まで「スパーン!!」と音が響いてきて、圧倒的な力を発揮します。

楽器を弾かせてもらったとき、「育ててみたい..!」と悪魔の囁きが聴こえてきましたが、値段を聞いて、我に返りました(^^)

僕も宗次さんのように、仕事×音楽で何かできることを模索していきたいと思います。

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