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今年発表された『キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)』の概要とは?

今年発表された『キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)』の概要とは?

皆さんこんにちは。
今年より人事オフィス桜井の一員となりました、中島と申します。

これから、ブログに時々出てくる予定ですので、記事がアップされた際はお手すきの際にお読みいただけると嬉しいです!

今後ともよろしくお願いいたします。

さて、今回の記事ですが、本年10月に制定されました「キャリアアップ助成金『社会保険適用時処遇改善コース』」の概要についてお伝えいたします。

ただ、概要に入る前にそもそも「キャリアアップ助成金」とは何ぞや?というところからお話しします。

キャリアアップ助成金とは?

厚生労働省のホームページでは以下の通り定義しております。

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するもの。

「キャリアアップを促進する」という表現が少し難しく感じますが、いわゆるパートなどの非正規雇用労働者の職を安定させるための取組を行った事業主に対して、一定要件を満たした場合に受け取ることのできる支援金のことをキャリアアップ助成金といいます。

返済が不要であるため、実際に多くの会社が活用しています。

これまでも、有期雇用労働者等を正社員化する取り組みをしたことで支給される「正社員化コース」、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上昇給させた場合に支給される「賃金規定等改定コース」など、様々な取り組みに対してキャリアアップ助成金の制度が設けられております。

「キャリアアップ助成金『社会保険適用時処遇改善コース』」とは?

それでは、今回のテーマである「キャリアアップ助成金『社会保険適用時処遇改善コース』」に入っていきましょう。

こちらは、現在世間をにぎわせているいわゆる「年収の壁(*)」問題に対応するため、政府が設定した「年収の壁・支援強化パッケージ」のうち、キャリアアップ助成金に新設された制度となります。

(*)年収の壁についても、以前の記事「政府の発表した「年収の壁・支援強化パッケージ」とは?」に記載しておりますので、よろしければご覧ください。

有期雇用労働者等が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用による手取り減少を意識せず働くことができるように、その減少分を補填する意味合いで労働者の収入を増加させる取り組みを行った事業主に対して、労働者1人当たり最大50万円の支援を行います。


具体的には、下記のいずれかの取り組み(または組み合わせ)を行った事業主に対して、助成金が支給されます。

(1) 手当等支給メニュー(手当等により収入を増加させる取組)
(2) 労働時間延長メニュー(労働時間の延長と賃金の増額を組み合わせる取組)
(3) 併用メニュー(上記(1)と(2)を組み合わせる取組)

中身について1つずつ見ていきましょう。

(1) 手当等支給メニュー(手当等により収入を増加させる取組)

労働者に「社会保険適用促進手当(*)」を支給することなどの取り組みに対して支給されます。
具体的な取り組み内容及び支給額は以下の表のとおりです。

厚生労働省HPより

(*)社会保険適用促進手当とは
短時間労働者への社会保険の適用を促進するため、労働者が社会保険に加入するにあたり、事業主が労働者の保険料負担を軽減するために新たに支給する手当のことをいいます。社会保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額を上限として、社会保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定には含みません。

(2) 労働時間延長メニュー(労働時間の延長と賃金の増額を組み合わせる取組)

所定労働時間を延長して社会保険を適用する取り組みに対して支給します。週の所定労働時間を4時間以上延長、または週所定労働時間を1時間以上4時間未満延長するとともに賃金増額の組み合わせ(下図)で、1人あたり30万円(大企業22.5万円)の支給となります。

厚生労働省HPより

(3) 併用メニュー(上記(1)と(2)を組み合わせる取組)

上記(1) 手当等支給メニューと(2) 労働時間延長メニューを組み合わせることも可能です。
1年目に(1) 手当等支給メニューによる助成20万円(大企業15万円)を受けた後、2年目に(2) 労働時間延長メニューによる助成30万円(大企業22.5万円)を受けることが可能となります。

厚生労働省HPより

また、同一の事業所でも、労働者の個別の事情に応じて異なるメニューの採用が認められており、メニューの選択にあたっては、事業主と労働者間の合意に基づいて決定していく必要があります。

今回の施策の効果と今後の展望は?

今回新設されたキャリアアップ助成金は、これまで踏襲されてきた短時間労働者の働き方を見直し、労働者と事業主の双方にメリットをもたらす新しい制度と言われております。

注目度も非常に高く、多くの経営者からお問い合わせもいただいています。

一方で、既に社会保険に加入している従業員との不公平感が出ないようにするなど、企業側も申請を検討する場合には慎重に進める必要があると言えます。

2026年までの時限立法であるこの制度がどれほど普及し、どのような影響をもたらすか、当事務所としても今後の展開に注目してまいります!

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